フリーランスの資金繰りをサポートするローン活用。ローンの種類と申し込みタイミングや融資による資金繰り方法を紹介。
フリ転編集部 柿本
Webライター兼コンテンツディレクター。20年以上の人事キャリア経験をもとに、現在はHR分野からビジネス系インタビュー記事まで幅広く執筆中。
フリーランスや個人事業主は日ごろから健全な資金繰りとキャッシュフローを心掛ける必要があります。ただ、事業拡大のタイミングや不測の事態により急に資金が必要になることは出てきます。そんな時に慌てないようにローンについて知っておきましょう。
目次
ローンの活用予定がある場合はフリーランス独立前に
ローンとは金融機関等からお金を借りて少しずつ返済する仕組みのこと。利用者の返済能力を見極めるために、資金を貸し付ける金融機関は勤務先情報、雇用形態、年収、過去のローン取引履歴などを基に審査を行います。フリーランスは一般的に、会社員と比較して収入が不安定なためローンの審査に通りにくいと言われています。
フリーランスであってもローンの活用は可能です。事業成長やご自身の生活レベル向上のために計画的に検討すれば心強い存在となります。
フリーランスが活用する主なローンの種類
フリーランスとして働きながらも人生の大きな節目は訪れるものです。結婚したり家を買ったりする際にローンを組む必要があるでしょう。まずはローンの種類から知っておきましょう。
個人の特定の目的があるローン
ローンには「目的別ローン」「カードローン」「フリーローン」「ビジネスローン」「おまとめローン」などの種類があります。個人が利用する大きなお金に関連するのが「目的別ローン」です。目的別ローンの例として以下のものが挙げられます。
住宅ローン
住宅を購入・新築する個人に対して金融機関が行う融資です。金額が大きいため、他の個人対象ローンと比べて金利が低く、最長返済期間が35年と長いのが特徴です。原則として購入する土地や建物が担保となります。
教育ローン
個人を対象とし、使用用途を教育関係の費用に限定した融資です。学生の保護者が学費の支払のため利用するケースが多く、無担保が主流です。
マイカーローン
自動車やバイクの購入資金、修理・車検費用、免許取得費用等に利用できるローンです。無担保の銀行ローンと、車を担保としてカーディーラーが貸し付けるローンがあります。
ビジネスの拡大・安定の目的のためのローン
ビジネスを立ち上げる際は開業資金をある程度自己資金で準備しておくのが良いでしょう。特にエンジニアやデザイナーなど専門職のフリーランスの場合は作業場所とパソコンがあれば仕事が出来るので大きな投資は不要で、ローンを使う必要はないはず。
事業が順調に軌道にのり、人を雇ったりオフィスを構えたりとビジネスの拡大を図るタイミングが出たらローンも視野に入れましょう。その際も、家族や知人から借りる、クラウドファンディングの活用など、金利や手数料がない手段も検討すると良いです。
ビジネスローン
法人または個人事業主向けに事業資金としての利用に絞ったローンで、事業・収支・資金計画書等をもとに審査され、原則として担保・保証人不要で借りられます。
カードローン
銀行や消費者金融等の金融機関が提供する個人向けの融資サービスのひとつです。融資元によっては事業目的の資金を借りられない場合があるので、詳細をよく確認しましょう。
CHECK
あらかじめ予定がわかっている場合はフリーランス独立前にローンを活用するのが良い
ローンには個人用のローンと事業用のローンがある
ビジネス拡大のためのローンも複数種類がある
フリーランスは住宅ローンは通りにくくフラット35を検討
住宅ローンを考えているフリーランスの方にお勧めなのが「フラット35」です。通常、個人事業主の住宅ローンの審査には直近3期分の決算書や確定申告書の提出が求められます。ということは、独立から4年待たないと住宅ローンに申し込めない事になります。「フラット35」は民間金融機関と住宅金融支援機構が提携・提供する最長35年の全期間固定金利の住宅ローンで、個人事業主であっても確定申告書類は直近1期分のみで問題がない、使いやすいローンです。
フリーランスが事業でローンを利用するメリット
会社の場合は会社の資金を使って事業投資や資金繰りができますが、フリーランスの場合は自分で貯めたお金が元手になります。大きな投資をする際や予想外の事態が起きた際に、自己資金だけではどうしても足りない場合がでてきます。そのような際にローンが有効です。
キャッシュフロー・資金繰りの改善
売上が落ち込み次の支払いに間に合わないといった際にローンを使うことで一次的な資金繰りを改善できます。
事業拡大など設備投資の資金調達
事業拡大のために良いパソコンに買い替える、オフィスを構える、人を雇う、などビジネスを行うにあたって投資が必要になる場面があります。時期を見定めて投資を行うチャンスが出てきたら、ローンを活用して事業拡大を促進しましょう。
ケガや病気など緊急時の資金確保
フリーランスは体が資本。ケガや病気の際は想定外の病院費用がかかるだけでなく、働けない期間は収入が途絶えます。日ごろから健康に気を使うと同時に、いざというときに使えるローンについて調べておくと安心です。
CHECK
住宅ローンを考えている場合は「フラット35」がおすすめ
資金繰り改善や事業拡大投資のためにローンを活用すると良い
けがや病気などの緊急時の資金確保も準備が必要
事業の見通しが立たないうちはローンを検討すべきではない
事業を始める際には、事業計画書を作成します。具体的な事業内容や、収益見込みをまとめたものです。どのくらいで黒字化するのか、そのためにはなにをしていくのかを計画立てることがビジネスを行うにあたっては何よりも重要な事です。事業の収益が不安定であったり、将来の見通しが立たない状態でむやみにローンを借りると資金の返済が困難になる可能性が高いので借り入れするべきではありません。支払いが滞るとその後の信用度も下がってしまいます。収支計画をきちんと立て、計画的にローンを検討しましょう。
フリーランスがローン審査を通過するためのポイント
返済能力があるか見極める審査条件をクリアすればフリーランスでもローンを組むことは可能です。ローンの審査では会社員よりも審査基準が厳しくなりがちなので、ポイントをしっかり押さえておきましょう。
年収と収入の安定性を高める
フリーランスの場合、事業期間が3期以上あることが審査の前提条件となっています。安定して継続した収入がある事を証明するために、長期の業務委託で収入が途絶えない状況を一定期間続けること、計画的に収支管理を行い支払いの滞りなどがない状況にすること、など実績を作ることが大切です。
収入証明や納税証明などの必要書類と事業計画書を準備する
会社員の場合は源泉徴収票などの収入を証明する書類を提出するだけですが、フリーランスがローンを申請する際には必要書類がいくつか発生します。事業の状況を証明するために、身分証明書、確定申告書の控え、所得税の納税証明書に加えて事業計画書が求められます。
クレジットスコア・信用情報を滞納なく傷つけない
クレジットカードやローンの利用履歴と、それに基づく信用情報をクレジットスコアと言います。クレジットスコアが高ければ簡単に融資がされ、ローンの金利が低くなりますが、スコアが低い場合は社会的信用度が下がり融資がおりないことがあります。
自己資金や担保・保証人の用意をする
借入金額が少ない方が審査に通りやすいのが一般的です。必要なお金をすべて借り入れるのではなく、事前にある程度自己資金を貯めた後にローンに申し込みましょう。フリーランスの場合、金融機関によっては連帯保証人を求められますので早めにご家族や知り合いと話し合い、連帯保証人の承諾を得ておくことが大切です。
金融機関やローンの種類を複数検討しておく
フリーランスはローン審査に通りにくいため、1つだけでなく複数の融資候補を決めておきましょう。万が一審査に落ちた場合でも、他の申し込み先候補があれば焦ることなく資金繰り調整ができます。
事業のための資金調達が必要であればローンでなく融資を検討する
家や車といったプライベートを含んだ消費目的のローンではなく、純粋に事業成長のための資金調達として公庫などからの融資があります。ローンは購入用途が細かく決めているものですが、融資は事業投資のためのお金を借り入れることを指します。
日本政策金融公庫による融資
国が100%出資している政府系金融機関で、事業用の融資を行っています。金利が低く保証人・担保が必要ないため人気が高い融資で、審査が厳しいとされています。
特徴
- 政府系金融機関のため、金利が低い
- 創業間もない事業者でも融資を受けやすい
信用保証協会を通じた融資
信用保証協会とは、中小企業・個人事業主が金融機関から事業資金を調達する際に保証人となって融資を受けやすくなるようサポートする公的機関です。利用には信用保証協会の審査を通る必要があります。
特徴
- 保証付融資を併用することで融資枠の拡大を図ることができる
銀行・信用金庫・信用組合による融資
銀行や信用金庫、信用組合などの民間金融機関が、直接審査を行うものをプロパー融資と言います。メガバンクからの銀行融資は開業から一定期間が経過している必要があるなど審査が厳しいですが、信用公庫の場合は地域密着サービス促進を目的としているため審査を柔軟に行ってもらえる場合があります。フリーランスの場合はまず信用金庫からの融資を検討してみましょう。
特徴
- 低金利かつ多額の資金を調達できる
CHECK
収益計画をきちんと立てたうえでローンを検討するべき
フリーランスがローン審査を通過するためにはポイントをしっかり押さえること
日本政策金融公庫や信用金庫からの融資も検討すると良い
事前準備と事業計画をしっかりしておけばフリーランスであってもローンの活用は難しくありません。借り入れを検討の際は金利の低い日本政策金融公庫や信用金庫などからはじめてみましょう!