フリ転編集部 柿本
Webライター兼コンテンツディレクター。20年以上の人事キャリア経験をもとに、現在はHR分野からビジネス系インタビュー記事まで幅広く執筆中。
フリーランスにとって契約書はとても大切なもの。口頭やメールだけでの案件受注は報酬未払いなどのトラブルにつながるので、契約書を取り交わすのは非常に重要です。案件を数多く回すフリーランスにとって効率的に契約書をやり取りできるシステムの導入は大きなメリットがあります。
電子契約システムの特徴やメリット、各種サービスの比較などをまとめています。自身の仕事スタイルや取引先との関係性なども考慮しながらあなたに合ったものを選びましょう。
目次
電子契約とは電子データのみをやりとりする仕組みで完結する契約
電子契約とは紙は使わずにオンラインで契約書確認や署名を行うことを言います。法的有効性を担保するために誰がサインしたのかを証明し、サインした日時をタイムスタンプで保存しておく手法が使われています。紙で契約書を作成する場合は作成、印刷、封入、先方へ郵送、ファイリングなどの作業が発生していましたが、電子契約ではボタンひとつで完結できます。
電子契約の改ざんされていないことを証明するための機能
オンラインの場合、本当の担当者が実際にサインをしたものなのかどうかわからないという不安があるかもしれません。電子契約のサービスでは、契約書が改ざんされていないことを証明し、その信頼性を確保するためのさまざまな手段が使われています。
電子契約では「誰が」「何を」作成したか証明する電子署名
電子署名は、誰が送ったかを証明するための「公開鍵暗号方式」と改ざんされていないデータだと証明する「ハッシュ値」という、2つの仕組みから成り立っています。それぞれの暗号データを電子文書に添付して相手先に送信することで不正を防ぐことができます。
「いつ」「何を」作成したか証明するタイムスタンプ
タイムスタンプとは、電子契約の時刻に関する信頼性を担保するための技術的な仕組みです。契約書の内容や署名が行われた日時を記録するため、契約書がいつ締結されたのか、文書の内容が改ざんされていないかを確認するために利用されています。
CHECK
・電子契約とはオンラインで契約書確認や署名を行うことを指す
・電子契約システムには改ざんを防止する様々な技術が使われている
・電子契約システムは署名の正当性が確保されている安心できるサービス
フリーランスが電子契約システムを導入するメリット
フリーランスや個人事業主だからこそ、電子契約システムの導入メリットが大きいのをご存じですか?事務作業の専任がおらず自分1人ですべての業務をこなさなければならない場合、自動化できるものはシステムに任せるのが効率的ですし、ミス防止にも役立ちます。契約内容がきちんと保存されるだけでなく、支払い条件や支払いスケジュールがわかりやすくなるなど多くのメリットがあります。
コンプライアンスの強化につながる
取引先との契約書類は電子帳簿保存法に従ったデータ保存が法律で定められています。真実性を確保する要件(データが削除・改ざんされていないことが確認できる状態を保っていること)と検索機能を確保する要件(誰もがすぐに確認できる状態を確保していること)を満たした電子契約システムによりコンプライアンス(法令遵守)強化になります。
書面契約での手間・時間を省く
紙ベースの契約書を印刷・郵送・署名・捺印する手間が省け、契約締結までの時間が大幅に短縮されます。また、紙の契約書の保管の手間やスペースも省くことができます。
報酬未払いなどトラブル防止の証拠を残す
いつまでに報酬を支払うかなど、取引先と合意して契約した内容は適切な保存が必要です。システム上で保存することで、契約内容をめぐるトラブル防止に役立ちます。
電子取引データの保管場所に困らなくなる
電子取引データは、契約書類が作成・受領されてから7年間保存することが義務付けられています。保存場所はパソコン上でもクラウドサーバー上でもどこでも問題ないのですが、電子契約システムを導入するとシステム上で保存されるので便利です。
どこでも契約書を発行できる
インターネットを介してどこからでも契約書を発行・確認ができるため、クライアントとすぐに契約を結ぶことができます。多くの電子契約システムはスマートフォンやタブレットでも利用可能なため、紙の契約書と比べると格段に手軽に契約書発行が可能になります。
印紙税がかからなくなる
同じ契約書でも紙で発行した場合は収入印紙が必要ですが、電子契約書では収入印紙は不要です。印紙税の節約になり、コストが削減できるというメリットがあります。
電子契約システム導入にはクライアントの同意が不可欠
契約とは自社と取引先の双方の合意の上で行うものです。取引先相手が電子契約システムを使うことに同意していないと契約締結ができません。もし紙でのやりとりを基本としている取引先と契約を交わす場合は、電子契約システムの仕組みやメリットを理解してもらうことからはじめ、契約がスムーズに進むように調整しましょう。
CHECK
・フリーランスにとって電子契約システムの導入は多くのメリットがある
・業務効率化やトラブル防止、コンプライアンス強化などにつながる
・電子契約システム導入には取引先の同意を得る必要がある
無料から使えるおすすめ電子契約サービス
業務のオンライン化に伴い電子契約システムを導入する企業が増えています。それに伴いさまざまなサービスが出てきているので、料金、機能、セキュリティ面、使いやすさ、などの視点からフリーランスとして使いやすいものを選びましょう。
クラウドサイン
弁護士ドットコムが提供する日本の法律に特化した弁護士監修のクラウド型電子契約サービス。シンプルなUIで誰でも使いやすく、契約締結から契約書管理まで可能にします。弁護士監修なので日本の法律に幅広く対応しており安心して始められます。
GMOサイン
月額料金8,800円と低コストで始められるクラウド型の電子契約サービスです。電子認証局を子会社に持つGMOが提供するサービスで、フリーランスのスモールスタートにも適しています。
freeeサイン
freeeサイン は契約業務をワンストップでカバーする電子契約サービスです。文書作成から締結。保管まで全てクラウド上で行うことができます。freee会計と連携させることで承認済みの申請を自動的に電子署名業務に繋げることができます。
Acrobat sign
アドビの電子サインサービス「Acrobat Sign」はPCやモバイルから署名ができるサービス。承認完了までの時間をスピーディーにするだけでなく、コスト削減や管理の手間軽減にも役立ちます。
BtoBプラットフォーム契約書
「BtoBプラットフォーム 契約書」はWEBだけで契約が完了する高度な電子契約システムです。企業間の契約締結・保管・共有を電子化で処理してくれます。
Dropbox Sign
あらゆるドキュメントに法的拘束力のある署名を追加でき、署名依頼の進捗を追跡も可能。Dropboxのアカウントと連携することにより、Dropboxのストレージ上にDropbox Signのフォルダが作成され、署名済みのドキュメントが自動で格納されて便利です。
CHECK
・まずは無料で使えるものから試してみよう
・会計ソフトなどほかのサービスとの連携しやすさも要確認
・導入することで契約業務の効率化と時間短縮につながる
フリーランス向けの電子契約システムの選び方
フリーランスにとって契約はとても大切なもの。自分にとっても取引先にとっても使いやすい電子契約システムを導入することがポイントです。
必要な契約書類形態に対応しているか
以下に挙げるような、企業が取り交わす文書・契約書のほとんどが電子契約で締結可能になっています。これらの中からフリーランスがよく使う秘密保持契約や業務委託契約書に対応していて使いやすいシステムを選びます。
使い続けるにあたり費用は適切か
電子契約システムの費用はさまざま。月額制と従量課金制があり、オプションによって料金が追加されるものもあるので、じっくりと比較し、事業規模に合わせた費用感のシステムから使い始めましょう。まずは無料でテスト利用してみるのもおすすめです。
取引相手が活用しているツールであるか
電子契約を結ぶ際に相手にも負担がかからないシステムを選ぶことが大切なので、頻繁にやりとりする取引先が使っているツールを優先して導入すると良いでしょう。
数ある電子契約システムの中から、自分に合ったサービスを見つけて契約業務を効率化させましょう。トラブルの防止になるだけでなく、業務効率化、コスト削減などビジネスの進行をスムーズにしてくれます。