フリーランスと屋号。後から変更もできる屋号はこだわり過ぎず、まずは開業し手を動かして実績を積み上げる
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フリ転編集部 柿本

Webライター兼コンテンツディレクター。20年以上の人事キャリア経験をもとに、現在はHR分野からビジネス系インタビュー記事まで幅広く執筆中。

フリーランスにとって屋号は大切なパートナー。屋号があるのとないので得られるメリットが大きく変わります。ビジネスの顔として事業の成長に大きく貢献してくれるものです。

フリーランスとして活動するにはぜひ持っておきたい屋号。屋号は開業時に決まっていなくても大丈夫です。途中から付けることも、変更することも自由にできます。役所への書類にある屋号記入欄に記入して提出するだけで簡単に登録できるので、気負わずに決めてしまうのがおすすめです。

開業時に屋号は必須ではなく、後から変更もできる

「屋号」とは、フリーランスや個人企業主がビジネスをする際に用いる、事業名を表す名称のことです。とはいえ、屋号は必ず持たなければいけないわけではありません。

屋号を使う場合は名刺・請求書・領収書などに記載するのが一般的です。また、開業届や確定申告書など役所に提出する書類にも記載欄があるため、屋号を持つ場合には記入が必要です。

屋号はいつでも好きな時につけることができ、あとから変更することも自由です。変更のための特別な手続きも不要です。開業届を出すときに屋号が決まっていなくても、確定申告の際に申請書類に屋号を記載すればそのまま登録が可能です。

屋号が決められずに開業届が出せないと思っているのなら、「freee開業」などのサポートツールで屋号なしで、まずは開業をしてしまいましょう。

ATTENTION

freee開業

フリーランスが屋号を活用するタイミング

屋号を日常的に使う名刺や請求書以外にも使う場面はたくさんあります。

開業届を出すタイミング

開業届には屋号を記入する欄があります。提出のタイミングで屋号が決まっていれば記入しましょう。決まっていなければ空白での提出で問題ありません。

事業用の銀行口座を作るタイミング

事業用として作る銀行口座の名義は、個人名だけでなく「屋号+事業主名」を設定することができます。

屋号入りの印鑑を作るタイミング

フリーランスが使う印鑑は「丸印」と「角印」があります。屋号が記入された「角印」を用意すると領収書・請求書などの書類に使うことができます。

フリーランスとして名刺を作るタイミング

オンラインでのビジネスの場が多くなった今でも、名刺は作っておくほうが良いでしょう。個人名のみ記載の名刺と屋号入りの名刺では印象が変わります。

見積書・請求書・領収書などの受発注取引のタイミング

案件ベースで業務を行うフリーランスは取引先へ見積書や請求書などの書類を提出する場面が多くあります。その際、屋号が記された書類を提出することで先方からの信頼を得やすくなります。

青色申告・白色申告に関わらず確定申告を行うタイミング

確定申告書には屋号を記入する欄があります。なお、屋号の記入は必須ではありませんので決まっていない場合は未記入での提出で問題ありません。

経理・会計処理や事務書類の公私の区別が屋号をつける一番のメリット

屋号を持つことで、公私の区別ができることは大きなメリットです。個人名で仕事をしているとメールやチャットなど、仕事とプライベートで切り替えが難しく、仕事の時間のオンオフがあいまいになってしまいます。

同様に、契約書類や領収書類もプライベートと事業用が混ざる整理が大変です。

年末に書類の山を処理するのに膨大な時間がかかるなんていうことは避けるために、仕事関連の書類や会計処理を個人用と別で管理することで事務処理がスムーズになります。

CHECK

屋号が決まっていなくても開業できる
開業後でも屋号をつけることも、変更することも可能
屋号を持っているとオンオフの区別がつきやすい

フリーランスの屋号の決め方のポイント

屋号を持つもうひとつの大きなメリットは、社会的信用力が高まり仕事の依頼をもらいやすくなることです。屋号による依頼数への影響度は意外に大きいので、思い付きだけでなくポイントを押さえて決める必要があります。

ひと目で事業内容がわかる・覚えやすい屋号がおすすめ

屋号にオシャレさは必要ありません。読みにくく変換しづらい名前は避け、シンプルで分かりやすいものにするのがマストです。

例えば、デザイナーの場合は「○○デザイン」「○○ウェブ」「○○クリエイティブ」「○○事務所」、エンジニアの場合は「○○制作」「○○システム」。また、クリエイターの場合はペンネームを屋号として使うパターンもあります。

  • 文字数は長くても10文字~15文字程度
  • 読みにくい漢字や難しいスペルの外国語は避け、ひらがなやカタカナで表記
  • 簡潔に事業内容が伝わる内容にする

自分では良い名前が思いつかないという場合は、無料の「お名前自動生成ツール」を活用すると便利です。様々な単語を組み合わせたネーミングのアイデアと共にロゴも作ってくれる優れものです。

検索結果を確認して他人と被らない屋号をつける

ある程度候補ができたら、ネットで検索をして同じような屋号がすでに使われていないかを確認します。フリーランスにとって検索で埋もれるのは集客において致命的です。他と被らないオリジナルなネーミングで、効率的に案件を獲得できるようにしましょう。

ホームページのドメインに空きがある屋号をつける

自身のホームページ作成を検討している場合は、屋号と同じドメインを取得できるかどうかも大きなポイントになります。ドメインとはインターネット上でウェブサイトを作るための住所のようなものです。

ホームページだけでなく、できればメールアドレスも屋号と揃えたいものです。ページを作る場所によりドメインの調べ方は変わります。

独自ドメインが空いているか調べる

WordPressやCanvaを使って自分でページを作る場合、独自ドメインを取得してオリジナルのURLでページを運営することができます。独自ドメインを取得後は都度の更新が必要です。

ドメインが空いているかどうか、まず以下のサイトから検索をしてみましょう。「取得可能です」と出てきたものが空いているドメインです。

ブログやnoteのIDが空いているか調べる

ブログサービスを使ってページを作る場合、URLの一部に自身のアカウント名が入ります。ドメインとは異なりますがページのアドレスとして世の中に出るものになります。

例:

https://note.com/*****

https://*****.hatenablog.com

*****部分が自分で好きに設定できる部分です

屋号として使いたい文字列がアカウントとして使えるかを確認します。会員登録画面から進み、ID・アカウント設定画面で使いたい文字列が利用可能かを確認します。

※noteの例画像挿入※

フリーランスの屋号の決め方で抑えておくべきルール

屋号は、文字制限などのルールはなく自分で好きに決めることができますが、いくつか注意点もあります。

事業毎に屋号をつける目的で複数取得できる

「フリーでWeb制作の仕事をしながら別で漫画の執筆からも収入を得ている」「ライターとイラストレーターとしてそれぞれ別のペンネームで活動している」というように、1人で異なる事業を複数行うフリーランスも珍しくありません。その場合、屋号も事業ごとに複数取得することができます。

銀行や会社など法人を想起させる屋号はNG

「○○会社」「○○法人」「○○ Inc.」など、法人と誤解される文字は屋号に使うことはできません。また、「○○銀行」「○○証券」といった特定の業種を連想させるような名前付けも禁止されています。フリーランスは個人事業主であり法人格ではないためです。

商標登録されている屋号はNG

屋号がすでに他社によって商標登録されていないかどうか確認しましょう。すでに商標登録がされているものを勝手に使うのは商標権侵害となり訴えられるので注意が必要です。以下ページの「商標(マーク)>商標(検索用)>キーワード」欄で検索をすることが出来ます。

また、自身の屋号が決まった際には特許庁へ商標登録を行いましょう。特許庁のサイトから自分で行うことも可能ですが、弁理士や特許事務所などに依頼するのが一般的です。標権の存続期間は登録日から10年となっているので、忘れずに更新手続きも必要です。少し面倒くさいですが、自身のブランドを守るために大切な手続きになります。

「,」「.」「-」「&」「・」「’」以外の記号は使えない

屋号の名前のつけ方には決まりはありませんが、法人名(商号)に使える文字は法律で決められています。

法人名で使える文字は、「漢字・ひらがな・カタカナ・数字・アルファベット・「,」「.」「-」「&」「・」「’」の6つの記号」となっています。将来法人化を視野に入れている場合は、上記6つの記号以外を屋号に使うのは避けたほうが良いでしょう。

CHECK

屋号の決め方にルールはないが押さえておきたいポイントはいくつかある
事業内容がわかりやすく、覚えやすい屋号にする
商標登録やドメインのチェックも行うこと

悩みすぎて開業に二の足を踏んでしまうのは元も子もありませんが、自分のフリーランス活動を後押ししてくれる屋号を見つけてください。屋号を決めることは決して難しいことではありません。紹介したポイントに沿って自分独自の屋号をつけましょう。

こだわり・悩み過ぎず。まずは実際に開業して実績とともに屋号を整える

屋号はフリーランスとして大切なものですが、名付けで悩みすぎる必要はありません。ポイントを踏まえたうえで、最終的には自分が好きになる名前を選ぶのが上手くいく秘訣です。

屋号に価値をつけていくのは、開業後のがんばりにかかっています。実績を積み重ねて信頼を育てていくことで、初めてブランディングが出来るようになります。

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