*

フリ転編集部 柿本

Webライター兼コンテンツディレクター。20年以上の人事キャリア経験をもとに、現在はHR分野からビジネス系インタビュー記事まで幅広く執筆中。

フリーランスとして業務を委託する際は、口約束ではなくきちんと書面で契約を交わします。文面に残していなかったがために、取引内容に認識の相違がありトラブルにつながるケースが多く発生しています。契約書類は慎重に内容を確認して締結することが大切です。

フリーランスの約4割が口頭で業務契約を行っているという数字がありますが、口約束は絶対に避けましょう!2024年11月からは口約束で契約してはいけないという法律もできます。フリーランスとしてトラブル防止は身を守るための大原則です。

目次

フリーランスの業務委託基本契約書・個別契約書は法的効力を持つ契約書類

フリーランスとして企業から案件をもらう際は、業務委託契約書の締結を行います。事前にきちんと契約書を結んでいないことにより、「納品イメージに相違があった」「報酬が支払われなかった」などのトラブルが発生する可能性が高まります。

2024年11月から施行される「フリーランス保護新法」より、報酬額や業務内容、納期などを明示した書面を取り交わすことが義務化されます。自分の身は自分で守るため、基本的にどのようなケースでもフリーランスは契約書を締結し、口約束で仕事を受けないようにしましょう。企業側から契約書が提示されない場合は、フリーランス側で用意して提示すると良いです。

業務委託基本契約書・個別契約書の中身

業務委託契約には、基本契約と個別契約があります。必ず両方作成しなければならないわけではないので、ケースバイケースで締結します。

継続的な取引を前提に基本契約書と個別契約書セットで契約をするもの

業務委託契約書において、基本契約書と個別契約書を分けて締結するのは、同一企業で複数のプロジェクトや業務に従事する場合がメインです。長期的な契約を前提にした場合に使われます。

基本契約書は取引全体に共通する事項について定める契約

基本契約書は委託者と受託者の一般的な責任や義務、報酬、機密保持などの基本事項をまとめたものです。支払方法、支払期限、所有権の移転時期など、毎回変わらない内容は基本契約で定めます。

個別契約書は委託する業務の詳細や作業など具体的な取引について定める契約

個別契約書は、業務委託の具体的な内容、範囲、期間、報酬、納期、成果の細かい仕様などを詳細にまとめたものです。プロジェクトごとの業務内容などその都度内容が変わるものに関しては個別契約で定めます。

業務委託基本契約書・個別契約書は取引が決まった際にクライアントと締結する

業務委託契約書は、クライアントと事前打ち合わせをして業務内容や報酬金額をすり合わせたのちに、書面としてまとめます。双方が内容に相違のないことを確認したうえで署名をし締結となります。

クライアント雛形での締結になるかどうかはケース・バイ・ケース

業務委託契約書は基本的に発注側(企業側)が提示するケースがほとんどですが、もし企業側から契約書の提示がない場合は確認を入れましょう。先方で書類を用意していない場合は、フリーランス側から書類をまとめる流れでも問題ありません。

CHECK

・基本契約書は取引全体に共通することをまとめたもの
・個別契約書は個別業務の詳細内容についてまとめたもの
・業務委託契約書は、取引が決まった際に必ずクライアントと書面で締結する

業務委託契約・請負契約・準委任契約の違い

業務委託契約には、内容により「請負契約」「準委任契約」があります。成果物に対する責任の有無などによって種類が変わってきます。

 

請負契約は納品義務があり完成責任が対象の契約

請負契約とは、受託者が定められた期日までに仕事を完成させ成果物を納品することを約束する内容の契約で、実際に成果物が納品されたときに報酬が支払われます。

準委任契約は納品義務がなく作業の遂行が対象の契約

準委任契約とは、発注者が事務処理などの業務遂行を依頼し、受託者がその約束を守ることで報酬が支払われる契約です。報酬額は稼働時間をベースに計算されるのが一般的です。

一回の取引に活用する業務委託契約書の主な記載内容

業務委託契約書の概要や記載するべき項目は以下の通りです。

委託業務の内容 

  • 委託料(報酬額)・・・金額は漏れずに設定
  • 支払条件、支払時期、支払い方法など・・・企業側の支払いサイトとすり合わせて明記
  • 成果物の権利・・・権利が委託者と受託者のどちらに帰属するか明記
  • 再委託の可否・・・受託者自身が業務を行わず、第三者に委託出来るかどうかを決める項目
  • 秘密保持に関する条項・・・秘密保持契約書を別に締結する場合もあります
  • 反社会的勢力の排除・・・全国での「暴力団排除条例」の施行後、ほぼすべての契約書に盛り込まれるようになったもの
  • 禁止事項の詳細・・・企業側から業務を行う際に禁止する事柄を記載
  • 契約解除の条件・・・無条件解除ができる期間や条件、一般的な解除条件などを記載
  • 損害賠償について・・・当事者の一方に契約解除や契約違反、債務不履行などがあった場合の損害賠償責任や額について定めるもの
  • 契約期間について・・・契約の有効期間
  • 所轄の裁判所について・・・裁判になった場合、第一審の裁判所をどこにするかを記載
  • その他の特記事項・・・お互いに伝えておきたい項目がある際に記載

CHECK

・請負契約とは、完成品の納品義務がある契約
・準委任契約とは、事務などの業務の遂行に対する契約
・業務委託契約書に記載される内容はおさえておこう

クライアントとの業務委託基本契約書・個別契約書の契約方法

事前打ち合わせで業務内容や報酬面をすり合わせた後、企業側から契約書が送られることが主流です。企業側から送られてきた書面の内容が認識と合っているかを細かくチェックをしましょう。

書面での業務委託基本契約書には収入印紙を貼付する必要がある

業務委託契約書は書面でもオンライン契約でもどちらでもかまいません。書面での契約締結の場合は収入印紙が必要です。業務委託の契約期間が3ヶ月以上の場合は一律で4000円分の収入印紙を用意しなければなりません。

業務委託基本契約書・個別契約書は電子契約で締結することが多い

オンラインでの電子契約の場合は、3ヶ月以上の契約期間であっても印紙は免除されます。4000円お得になるので、電子契約で締結することが多くなっています。

国内シェアの高い主な電子契約サービス

パソコンやスマートフォンなどのデバイスから簡単に操作が出来、無料で使えるサービスがいくつもあります。電子契約の流れは難しいものではないので契約前に理解しておきましょう。

クラウドサイン

弁護士ドットコムが提供する日本の法律に特化した弁護士監修の電子契約サービス。

電子印鑑GMOサイン

電子認証局を子会社に持つGMOが提供するサービスで、フリーランスのスモールスタートにも適しています。

DocuSign

世界180ヵ国以上で利用されており、様々な言語に対応しているため海外との取引における契約の際によく使われているサービスです。

CHECK

・書面での業務委託契約書には収入印紙が必要
・業務委託契約書を電子契約する場合は収入印紙は不要
・電子契約サービスについて知っておこう

トラブル防止に基本的にどのような案件でも契約を締結して進める

フリーランス新法施行後には、企業がフリーランスに業務委託をする際には書面での交付が必須となりました。これまでの口約束のみでは契約とみなされなくなります。書面はメールのみでも可能ではあるのですが、出来る限り業務委託契約書の形での締結をオススメします。

フリーランスが業務委託基本契約書・個別契約書を締結する際のチェックポイント

業務委託契約書は、委託業務の依頼内容や取引条件を定めた契約書です。フリーランスとして業務委託で委託した内容範囲や報酬額などを明記した大切な書類になるので、抜け漏れがないかチェックポイントに沿って確認します。

業務委託基本契約書のチェックポイント 

業務委託基本契約書は業務委託関係の基本的なルールや条件を定めているものです。この書類に契約のベースとなる内容が含まれています。

損害賠償の上限が定まっているか

万が一、損害賠償を請求された場合に備え、あらかじめ業務委託契約書において損害賠償の金額を定めておく必要があります。リーランスとして個人で払いきれない金額とならないよう、損害賠償限度額を定めておくのが良いでしょう。取引額を限度とすると定めるのが一般的です。

著作権、著作人格権の譲渡や行使しない規定があるか

業務委託契約において自身のデザインやアイデアが入った成果物を納品する場合は著作権の所在を明確にしておきましょう。「納品した制作物の著作権はクライアントに譲渡する」と記載されている場合が多いです。

競業避止義務での仕事の範囲が狭くなるリスクはないか

競業避止義務とは、情報・ノウハウの流出を防ぐために他の企業への就職を制限するものです。フリーランス側は同じような内容の他社案件を受注できなくなるなど不利益が生じる可能性があるものなので、適応範囲や期間を確認しましょう。

優先条項での基本契約書と個別契約書の内容の優先度が定義されているか

基本契約書と個別契約書の内容に矛盾がある場合にどちらを優先するかで揉めることもあります。基本契約と個別契約の優先関係について争いを避けるために、優先条項は必ず設けておくべきです。

業務委託個別契約書のチェックポイント

業務委託個別契約書には、具体的な業務内容や金額、業務の期間、委託者と受託者の責任や義務、機密保持などが明記されています。

委託する業務の範囲や責任の所在が明確かどうか

業務の範囲や成果物の内容について具体的にわかりやすく記載されているか確認します。

委託料の額や支払方法に齟齬がないか

金額や支払い納期が事前に打ち合わせた内容と相違がないかを確認します。請求書の締切日や支払い方法・タイミングについても確認しておくことが大切です。

納期や成果物の納品方法に無理がないか

成果物の納品時に企業側のチェックがある場合はその評価の基準、そして納期について確認します。

秘密保持の範囲や期間が無駄に広くないか

何が秘密情報とされているのか定義欄を確認し、企業側の考える定義と自分の考える定義の相違がないかを確認します。

解除条件が明確に記載されているかどうか

業務委託契約では契約書に定めた事由に該当した場合、双方が解除を申し出ることができます。その条件項目を確認します。

CHECK

・トラブル防止のために、どのような案件でも契約を締結するのが鉄則
・チェックポイントに沿って内容をしっかり確認する
・基本契約書と個別契約書の優先度の定義も確認すること

業務委託契約書は、業務内容や納期、報酬額の明確化だけでなく、著作権や秘密情報の取り扱いやトラブル時の賠償に関してなど非常に重要な事柄がまとめられている書類です。取引先との期待や責任を明確化し、良好な信頼関係を保つために必ず締結しなければいけないものです。

すべてのクリエイターに捧ぐ。フリーランスのクリエイターコミュニティ。
クリエイターのスキルアップカンファレンスやクリエイター同士の縁を紡ぐイベントへの参加!
クリエイターのための専門リソースとネットワークを駆使したプロジェクト案件への挑戦!

新規メンバー続々増加中。
皆と一緒に今すぐ、冒険に飛び込もう! 
物語の主人公はあなた。

コミュニティへ参加

人気キーワード