フリーランスに税理士は必要?依頼をすべきケースと事業と相性の良い税理士の探し方を解説
- Home
- フリーランスの独立術
- フリーランスに税理士は必要?依頼をすべきケースと事業と相性の良い税理士の探し方を解説


フリ転編集部 柿本
Webライター兼コンテンツディレクター。20年以上の人事キャリア経験をもとに、現在はHR分野からビジネス系インタビュー記事まで幅広く執筆中。
税理士に依頼するのはお金がかかるので、本当に必要かどうか悩みますよね。フリーランスとして外部に依頼できるものは積極的に活用すると良いですし、税理士がいると「節税効果が期待できる」「会計・税務の手間や不安が減る」「経営アドバイスや資金調達のサポートをもらえる」など多くのメリットがあります。
小規模なうちは会計ソフトを活用して自力での対応も可能ですが、事業拡大、複数の収入源、法人化を考えるタイミングでは税理士の専門知識が大きな助けとなります。税理士は記帳代行や税務申告だけでなく、節税対策、資金調達、経営相談など多様なサポートをしてくれます。
目次
フリーランスに税理士は必要か?
フリーランスが税理士を頼むべきかは、収入や業務内容によって異なります。事業規模がそこまで大きくなく、会計ソフトで問題なく会計処理が出来ている場合は税理士に頼む必要はありません。取引内容が複雑だったり、今後事業を拡大する予定があるなどの場合は依頼を検討してみましょう。依頼費用がかかりますので、節税対策と費用負担のバランスも合わせて判断が必要です。
収入が低い場合は会計ソフトで自身で手続き
会計ソフトを使えば、税理士に頼むことなく自分で会計処理を簡単に行えます。自分で処理できる範囲であれば、税理士にお願いする必要はないでしょう。ただ、フリーランスとしての本業に集中するために会計業務を外注して業務を効率化させる目的として税理士に依頼するというのも手段のひとつです。
事業規模が大きくなる見込みができてから依頼がベター
事業規模を拡大させていく段階の、早いタイミングで弁護士に頼むことを検討すると良いでしょう。取引が複雑になる前にあらかじめ会計処理の仕組みを準備しておいたり、事前の節税対策を進められるなど、具体的かつ専門的なアドバイスをもらうことができます。事業が成長するにつれて会計処理や税務関連の対応が複雑になるため、早めに専門的なサポートを得ておくと安心です。
フリーランスが税理士に依頼するよくあるタイミング
フリーランスが税理士に依頼するタイミングは、自分の知識では対応しきれない事業規模や会計処理になってきた時が目安です。また、青色申告や節税対策をしっかり行いたい場合や、法人化を視野に入れ始めた段階で相談するのも効果的です。
売上が安定したタイミングから依頼する
売上の安定が実現したら、納税額を抑えるために経費の適切な計上や控除の活用を積極的に行います。これらの専門的なアドバイスを税理士からもらうことで、節税効果や会計処理にかかる時間の削減につながります。
開業したタイミングから依頼する
フリーランスとして事業を開始した直後は、資金繰りなどお金に関する不安や悩みが多い時期です。税理士に依頼することで、初期の段階から正しい税務処理だけでなく開業届や確定申告など必要な書類の準備をするサポートも受けられます。
確定申告だけスポットで依頼する
税理士は毎月の契約ではなくスポットでの依頼も可能です。特に確定申告関連が不安な場合は、確定申告だけスポットで依頼することで正確な申告ができます。また、長期契約前に一度依頼をしてみることで税理士との相性の良さを図れることもメリットです。
CHECK
・収入規模や業務内容によって税理士に頼むかどうか判断する
・自分で会計処理が問題なくできる規模であれば外注不要
・事業規模が大きくなる見込みができてから依頼すると良い
税理士の依頼がおすすめな具体的なケース
売上の拡大・節税対策・経理の負担軽減・法人化の判断など、様々なタイミングで税理士に依頼をするのが有効なケースがあります。お金のことを相談できる、税金・会計のプロがいることはフリーランスにとって大変心強いものです。
課税売上1,000万円を超えている場合
売上が伸びて所得が増えると、所得税の税率が高くなるためきちんとした節税対策が必須になります。税理士に相談することで、適切な税制を有効に利用した節税効果が期待できます。
複数の収入源がある場合
複数の収入源があると会計処理が複雑になります。帳簿・申告ミスによるリスクを防いだり、節税の幅を広げるために税理士のアドバイスを得ると良いでしょう。また、それぞれの収入源の資金繰り状況や、どの事業に注力すると良いのかなど、経営相談もしてもらえるため事業成長の後押しになります。
インボイス登録事業者の場合
フリーランスがインボイス制度に登録し「適格請求書発行事業者」となった場合、インボイス対応の請求書処理が必要となります。消費税に関する専門知識を持ちながら複雑化する請求書の発行や管理に対応できるのが税理士のメリットです。
海外との取引がある場合
海外取引に関する税務は複雑で、日本の税法だけでなく、相手国の税制や国際税務を考慮する必要があります。税理士のサポートを受けることで、対応するべきことが対応でき、税務リスクを最小限に抑えられます。
特殊な業種形態を営んでいる場合
業界専門の慣習があるなど特殊な業種形態を営んでいる場合、税理士に依頼することで専門的な税務知識と業種理解に基づいた正確な申告と節税対策を受けることができます。特殊業種では収入や経費の扱いが一般と異なることが多く、自己判断ではミスや申告漏れのリスクが高まります。税理士に依頼することで税務署からの指摘リスクを減らすことができます。
会社設立を考えている場合
売上や利益が大きくなってきたら法人化をしたほうがメリットが大きい場合があります。法人化するべきかどうかの判断やどのタイミングで踏み切るのが最適かなど、税理士からの専門的なアドバイスをもらえるのは大きな利点です。事業の収益状況をもとに、法人化による節税メリットがあるかどうかを具体的に判断してもらえます。
法人化するタイミングでは顧問税理士が必要になる
顧問税理士とは法人や個人事業主などを対象として一定期間の顧問契約を結んだ税理士のことです。法人化をすると個人事業に比べて会計処理や税務申告が複雑になり、決算書の作成など複雑な手続きが多くなります。顧問弁護士を持つことでこれらの業務のサポートだけでなく税務署や役所への届け出や経営面のアドバイスなどを多角的に受けることが可能になります。
CHECK
・税金・会計のプロがいることはフリーランスにとって心強い
・課税売上1,000万円を超えたら税理士の検討をすると良い
・法人化するタイミングでは顧問税理士が必要になる
税理士に依頼できる業務と恩恵
税理士に依頼できる業務は多岐にわたりますが、主に税務や会計に関連する業務が中心です。フリーランスにとって、税理士に依頼できる業務を理解しておくと、ビジネスの運営や節税、経営の効率化がしやすくなります。
記帳代行
毎月の収入や支出を整理して、税務申告に必要な書類を整えます。自社で導入している会計ソフトがある場合は、使っているソフトに対応可能かどうかの確認もすると良いでしょう。
税務書類作成
税務署への各種届出書類の作成や提出も代行してくれます。これにはもちろん確定申告書類も含まれます。
税務代理
税務署への申告や各種届出を税理士が代理対応してくれます。フリーランスが自分で行う場合と比べて専門知識に基づいた適切な手続きができ、スムーズに進められます。
資金調達のサポート
事業内容や事業計画を踏まえた最適な融資の選定から、銀行や金融機関から融資を受ける際のアドバイスや申請のサポート、資金繰りのアドバイスまで対応してくれます。事業計画書の作成サポートなど、融資を受けやすくなるためのアドバイスまでもらえ、事業成長を後押ししてくれます。
税務相談
節税対策はもちろん、税務に関する専門的なアドバイスがもらえると同時に、最新の税法改正に関する情報も得られます。
税務調査への対応
税務調査が入った場合、税理士が立ち会って対応を行うことができます。具体的には調査に必要な書類などの準備、実際の調査の際の立ち合いや説明、調査後の対応まで任せられます。
CHECK
・税理士に依頼できる業務は幅広い
・日々の記帳代行だけでなく経営面でのアドバイスまで
・どんな業務を依頼できるかを知っておくことが重要
フリーランスが税理士への依頼費用の相場
フリーランスが税理士を頼む場合の費用相場は月額1万円〜4万円と幅広くなっています。税理士にお願いする内容や頻度、そして事業の売り上げ規模などにより料金が変わってきます。
確定申告のスポット依頼の場合の相場
確定申告を一括で依頼する場合は3万円〜10万円程度が相場です。白色申告のほうが依頼単価が低く、複式簿記が必要な青色申告のほうが単価が高い傾向にあります。複雑な経費計上や複数の収入源がある場合も料金が上がります。
税務相談など顧問契約の場合の相場
定期的に税務相談や経理サポートを受ける場合、月額2万円〜10万円程度になります。事業が大きくなり一人で会計作業をするのに不安を感じはじめたときや、税務だけでなく経営やお金の管理に関するアドバイスを定期的に受けたいと考え始めたら、顧問契約も検討しましょう。
フリーランス税理士契約をすることで節税はできるか?
税理士に会計処理を頼むことで自分では気づかない、見逃しがちな支出を経費として計上できるようアドバイスしてくれるため、税金を減らす手助けになります。その結果事業所得が減り、課税対象の金額が少なくなることで節税につながるのです。また、税法上の特例や優遇措置など節税に関する最適な方法を提案してくれることで税金を軽減させることができます。
専門知識による効果的な節税対策はできる
フリーランスが税金を節約する主な方法の一つは、経費を適切に計上し、各種所得控除を活用して課税対象となる所得を減らすことです。税理士に頼むことで素人では気づかない経費や、専門知識がないとわからない優遇措置などを的確に使うことができ、節税対策になります。
節税にはまとまった現金が必要でもあり安定した売上は必須
売上があまりにも少ない場合、経費を計上しても赤字となり節税効果が小さくなってしまいます。経費を計上することで節税効果を得るためには、それに見合った売上が必要なのです。
CHECK
・税理士への依頼方法はスポット依頼と顧問契約
・依頼内容や頻度、事業の売上規模により費用が変わる
・税理士契約することで費用はかかるが節税対策が可能
フリーランスが税理士を選ぶ際に確認したい項目
税理士事務所は数多くあるので、どこに依頼すればよいか悩むかもしれません。専門分野の知識や料金体系、評判など考慮しながら検討しましょう。
必要なサービスが業務範囲に含まれるか
税理士によってアドバイスできる内容の幅は大きく異なります。確定申告に強いのか、税務・会計改善のアドバイスが専門なのか、自社として求めるサービスに合っているかを確認しましょう。
担当者との相性が良くコミュニケーションを取りやすいか
フリーランスの場合、税務に関する疑問が出てきた際にすぐに相談できる相手がいると安心です。レスポンスが早く、かつ親身に対応してくれる税理士を見つけると心強いです。
積極的に節税対策を提案してくれるか
フリーランスとしての事業経営に合わせたアドバイスをしてもらうことで事業収益の最大化につながります。例えば収入が増えた場合に最適な節税方法を再提案するなど、状況に合わせて積極的に提案をもらえるとしっかりとした節税になります。
業界や業種特有の専門知識を有しているか
フリーランスにはIT系からメディア系、コンサルティングなど幅広い業界・職種があり、自分の属する業界特有の商慣習や注意点を理解している税理士が良いでしょう。
ITツールに明るいか
メールやチャットなどオンラインでコミュニケーションを取りやすかったり、会計ソフトなどのクラウドツールや確定申告の電子申請方法などの最新知識を持っている税理士だとスムーズにやり取りができます。
フリーランスが税理士を探すおすすめの方法
同業者の知り合いや、フリーランス仲間がいれば、おすすめの税理士を紹介してもらうのも良い手段です。自分で探す場合は、オンラインの紹介サービスを使って効率的に見つけましょう。
会計ソフトの税理士紹介サービスを活用する
会計ソフトの税理士紹介サービスとは、クラウド型会計ソフトを利用しているユーザーに対して、会計ソフト運営会社が税理士を紹介するサービスです。使っている会計ソフトの知識を持った税理士を紹介してもらえるので、相談がしやすいのがメリットです。
マネーフォワード
全国40,000名超の士業事務所とパートナーシップを持ち、大手税理士法人から個人事務所まで幅広いニーズに合わせて無料で紹介。ITツールに強く、クラウド会計の導入実績が豊富な税理士・社労士を紹介してくれます。
フリー会計
freee税理士コーディネーターがfreee認定資格を持つ全国の税理士事務所から要望に沿った税理士を紹介。面談調整やお断り連絡などもコーディネーターが行ってくれるので探すのに費やす手間がかかりません。
専門の税理士紹介サービスを活用する
税理士紹介サービスを利用することで、自分の業務に最適な税理士を見つけて税務に関する専門的なサポートを受けることができます。フリーランス専門に紹介してくれるところもあります。
税理士紹介ドットコム
納得のいく税理士と出会うまで何度でも無料で紹介してくれるサービス。コーディネーターが間に入り条件面の交渉なども行ってくれます。
税理士紹介センター
成約手数料など一切不要で、無料で税理士を紹介してくれます。最短で申込当日に紹介も可能で、業界に合わせた税理士を見つけてくれます。相性の合う税理士が見つかるまで何度も紹介してくれるサービスです。
事業の成功は会計を担う税理士選びも大切な要因
税理士は仕訳や確定申告を手伝ってくれるだけでなく、税務や経営に関するアドバイスを行い事業の成長をサポートしてくれる心強いパートナーです。信頼できる税理士を見つけることで、ビジネスの成長を後押しすることができます。
大手が必ずしも良いとは限らない
相性の良さが税理士選びで大切なポイントのため、税理士事務所の規模はそこまで気にする必要はありません。税理士の得意ジャンルや費用面、お願いしたい事に対応してくれるかどうか、などを細かく擦り合わせて、自社のニーズに合った人を見つけ出すことが大切です。
必ず複数の税理士と面談をしてから決める
複数の税理士と面談し、比較検討するのが良い税理士を見つけるカギになります。税理士の専門知識、対応の速さ、説明のわかりやすさ、料金体系などを比較し、自分のニーズに最も合っている税理士を選ぶようにします。
CHECK
・業界知識や料金体系、評判など考慮しながら税理士選びを行うこと
・税理士紹介サービスは数多くある
・必ず複数の税理士と面談をしてから決めること
駆け出しのフリーランスは自分で会計を。安定したら税理士に依頼
まずはお金の流れを知るために自分で会計業務を行うことも経験です。会計ソフトを上手く使いながら、金の流れを可視化し、自身の資金繰りを把握しておくことで、税関連としてどこを強化する必要があるのかわかってきます。そのうえで経理業務の効率化や資金繰り・税務面のアドバイスを税理士にあおぐことで、事業強化につながります。
信頼できる税理士を選ぶためには、業界知識・相性・料金体系などを比較検討し、紹介サービスを活用すると効率的です。最初は自分で会計を経験し、お金の流れを理解した上で、タイミングを見て税理士と連携しながら事業を拡大させましょう。