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フリ転編集部 山脇

大手新聞社で編集オペレーターを務めた後、奈良日日新聞社に入社し、制作課主任として編集業務全般(紙面組版をはじめ、記者・広告制作、デザイン業務など)に従事。休刊後はフリーランスとして本格的に活動を開始し、新聞組版のほか、地方紙やウェブメディアでの原稿執筆も行う。

個人事業主として活動していると避けて通れないのが「個人事業税」の存在です。この記事では、個人事業税の定義から計算方法、支払い方法、そして未払いの際のリスクまで、事業を営む上で必要な知識をわかりやすく解説します。特に対象となる業種と対象外の業種、税額の計算例、支払い方法などの具体的な情報を中心に、個人事業主の方々が確実に税務を管理できるようサポートします。

個人事業税は年収290万円超で課税対象となる地方税です。デザイナーなら3%、医師や弁護士は5%の税率がかかります。8月と11月の納付を怠れば延滞金や財産差押えのリスクが生じます。納付した税金は翌年の経費計上が可能です。事業形態と収入を正確に把握し、納税時期に備えた資金計画を立てておくことが不可欠です。

個人事業税の基本

個人事業税とは

個人事業税は、個人で事業を営む方に課される地方税の一種です。法人の場合は法人事業税が課されますが、個人事業主の場合は個人事業税が課税されます。この税金は都道府県が徴収し、地方の行政サービスを支えるための財源となっています。

課税対象となる事業

個人事業税が課税されるのは、法で定められた特定の事業を営む個人事業主です。

ただし、すべての個人事業主が課税対象となるわけではありません。

【主な対象事業】

区分税率対象事業
第一種事業5%物品販売業、不動産貸付業、製造業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理飲食店業 など
第二種事業4%畜産業、水産業、薪炭製造業 など
第三種事業5%医業、歯科医業、薬剤師業、弁護士業、公認会計士業、税理士業、理容業、美容業、社会保険労務士業 など
3%デザイン業、諸芸術家業、装蹄師業 など

課税対象外の事業

以下の事業は個人事業税の対象外となります。

  • 農業
  • 林業
  • 鉱物の掘採事業
  • 水産動植物の採取事業
  • 給与所得者
  • 不動産の譲渡による所得
  • 山林所得
  • 利子配当所得
  • ブロガー、アフィリエイターなどの雑所得として申告している場合

個人事業税は経費になるのか

個人事業税は、所得税や住民税と異なり、翌年の確定申告で経費として計上することができます。つまり、2023年分として2024年に支払った個人事業税は、2024年分の確定申告(2025年2〜3月)で経費として計上できます。

ただし、個人事業税そのものは事業税なので、個人事業税の計算上は経費として認められません。これは二重控除を防ぐためです。

CHECK

・個人事業税は都道府県が徴収する地方税で、特定の事業を行う個人事業主が納税義務を負う
・業種により税率が3~5%で変わり、非課税となる事業も存在する
・支払った個人事業税は翌年の確定申告で経費にできるが、事業税の計算では経費にならない

個人事業税の計算と納付

個人事業税の計算方法

個人事業税の計算は以下の手順で行います。

  1. 課税標準額の算出: 事業所得 – 事業主控除額(年間290万円)= 課税標準額
  2. 税額の計算: 課税標準額 × 税率(事業の種類により異なる)= 税額

個人事業税の事業主控除と繰越控除

個人事業税では、すべての課税対象事業について一律で290万円の事業主控除が適用されます。これは事業主自身の労力分を経費として認める考え方に基づいています。そのため、年間の事業所得が290万円以下の場合、個人事業税は課税されません。

また、事業税の対象となる所得の計算上生じた損失は、翌年以降に繰り越すことができます。この制度を利用すれば、赤字が出た年の損失を、翌年以降の黒字から差し引くことができます。

個人事業税の計算例:WEBデザイナーの場合

WEBデザイナー(第三種事業・税率3%)の年収が600万円の場合の個人事業税を計算してみましょう。

  1. 事業所得:600万円
  2. 事業主控除:290万円
  3. 課税標準額:600万円 – 290万円 = 310万円
  4. 税額:310万円 × 3% = 93,000円

この場合、年間93,000円の個人事業税が課税されることになります。

支払い時期と方法

個人事業税は、原則として年に1回、8月頃に都道府県から納税通知書が送られてきます。ただし、税額が一定額(通常1万円)を超える場合は、8月と11月の年2回に分けて納付することになります。

例えば、先ほどの計算例で税額が93,000円の場合

  • 第1期分(8月納付):46,500円
  • 第2期分(11月納付):46,500円

なお、個人事業税は前年の所得に対して課税されるため、開業初年度は納税の義務は発生しません。

主な支払い方法は以下の通りです:

  1. 金融機関での窓口納付:納税通知書を持参して納付
  2. コンビニエンスストアでの納付:納付書のバーコードがある場合
  3. eLTAX(エルタックス)による電子納税:オンラインで納付
  4. クレジットカード納付:自治体によって対応が異なる
  5. 口座振替:事前に手続きが必要

CHECK

・所得から290万円の事業主控除を差し引き、業種別税率を掛けて税額を算出
・年間所得が290万円以下なら課税されず、損失は翌年以降に繰り越せる
・納付は8月と11月の年2回で、金融機関やオンラインなど複数の方法がある

個人事業税のリスク管理と対策

未払いのリスク

個人事業税を未払いにした場合のリスクは以下の通りです。

リスク内容
延滞金の発生納期限を過ぎると、年14.6%(最初の2ヶ月は年7.3%)の延滞金が加算されます
督促状の送付納期限から20日以内に督促状が送付されます
財産の差し押さえ督促状の指定期限までに納付しない場合、預金口座や不動産、給与などの財産が差し押さえられる可能性があります
事業継続への影響税金の滞納は、融資や許認可の取得にも悪影響を及ぼします

納税猶予制度

災害や病気など、やむを得ない理由で納税が困難な場合には、納税の猶予制度を利用できる場合があります。

主な猶予制度には以下のようなものがあります:

  1. 換価の猶予:一時的に納税資金の調達が困難な場合に適用
  2. 徴収の猶予:災害や病気などの理由で納税が困難な場合に適用

猶予を受けるには、管轄の都道府県税事務所に申請が必要です。承認されれば、最長で1年間(特別な場合は最長2年間)の納税猶予が認められます。

個人事業主のための事業税対策

個人事業税は、一定の事業を営む個人事業主が支払う地方税です。年間の事業所得が290万円を超えると課税対象となり、事業の種類によって税率が異なります。WEBデザイナーであれば税率は3%、医師や弁護士などの専門職は5%となります。

適切な納税管理のためには、以下の点に注意しましょう。

  1. 事業所得の正確な把握と記録
  2. 納税時期の把握と資金計画
  3. 翌年の経費計上の忘れがないよう記録を残す
  4. 必要に応じて税理士に相談する

CHECK

・滞納すると延滞金が発生し、最悪の場合、財産が差し押さえられる恐れがある
・納税が難しい時は、納税猶予の制度を活用できるか、税事務所に問い合わせてみる
・正確な所得把握や納税時期の管理を徹底し、経費計上を忘れないように記録する

個人事業税は、一定の事業を営む個人事業主が支払う地方税です。年間の事業所得が290万円を超えると課税対象となり、事業の種類によって税率が異なります。

WEBデザイナーであれば税率は3%、医師や弁護士などの専門職は5%となります。納付は基本的に8月と11月の年2回で、未払いの場合は延滞金や財産の差し押さえなどのリスクがあります。

また、個人事業税は翌年の確定申告で経費として計上できるため、しっかりと記録を残しておくことが大切です。正しい知識を持って適切に納税し、安心して事業を継続させましょう。

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